高校の転校について調べていると、「高校の転校は難しい」「公立高校はほぼ無理」「受け入れてもらえるか分からない」といった情報を多く目にします。実際、全日制高校ではカリキュラムや定員の関係で転校のハードルが高く、とくに公立高校では転居をはじめとした「やむを得ない事情」がないと受け入れが認められない場合がほとんどです。
一方で、私立高校や通信制高校まで視野を広げると転校の難易度は大きく変わり、選択肢が広がるケースも少なくありません。

ここでは、公立・私立・通信制の違いを整理しつつ、高校の転校を安全に進めるための手順までわかりやすく解説していきます。

この記事でわかること

・高校の転校が難しいと言われる背景
・公立高校・私立高校の受け入れ条件の違い
・通信制高校が転校しやすい理由
・安心して転校を進めるための具体的なステップ

高校の転校が難しいと言われるのはなぜか?

多くの高校は全日制です。全日制の高校では「学年制」をとっており、学年ごとに履修すべき単位やカリキュラムが細かく決められています。さらに、学校ごとに授業の進度、扱う教材、評価方法が異なります。そのため、途中で転校すると「これまでの単位がどの程度認められるか」という確認が必ず必要になります。
さらに、多くの全日制高校では定員管理が厳格に行われているため、学期途中で定員に余裕がなければ、そもそも受け入れが不可となることもあります。これは公立でも私立でも同様です。こうした制度上の理由から、「高校の転校は難しい」と言われているのです。

公立高校への転校は原則として「やむを得ない事情」が必要

公立高校は、地域の生徒を公平に受け入れるという原則があります。そのため、転校を希望する際には転居などの「やむを得ない事情」が求められるケースが大半です。本人の希望や学校生活の悩みなど、生活上の事情だけでは転校が認められないことも多く、転校可能かどうかの判断は都道府県の教育委員会が行います。

転入試験が行われる可能性もある

全日制高校では、転校希望者に対して書類審査だけでなく、学力検査や面接を行う場合があります。特に定員がほぼ埋まっている学校では慎重に判断され、希望しても受け入れが叶わないケースも少なくありません。
転入試験を課される場合には、通常の入学試験よりも難易度が高いとされています。

そもそも受け入れていない高校もある

残念ながら、年度途中の受け入れが一切行われていない高校もあります。
そもそも受け入れているか、受け入れているとしたら出願条件は何か、この順番で確認していく必要があります。

私立高校は学校ごとに受け入れ方針が大きく違う

私立高校は学校独自の方針で運営されているため、公立に比べると転校の受け入れが柔軟な傾向があります。ただし「全く受け入れていない学校」「年度途中は受け入れ不可の学校」も存在し、対応は学校によって大きく異なります。
学力試験・面接・書類審査などの選抜方法も学校ごとに異なるため、複数校への問い合わせが現実的なアプローチになります。

単位が引き継がれない場合もある

私立高校は独自カリキュラムを採用していることも多く、単位の引継ぎが認められるかどうかは学校の判断によって大きく変わります。中には同じ科目名でも授業内容が異なるため単位認定されないこともあります。その場合、必要な単位がそろわず、予定通りの時期に卒業できない可能性も出てくるため、あらかじめ確認しておく必要があります。

全日制から通信制高校への転校は比較的スムーズ

通信制高校は「単位制」を採用しているため、生徒一人ひとりの履修状況に合わせて学習計画を組むことが可能です。これにより、転入時期を問わず受け入れができる学校も多く、全日制に比べて転校のハードルが低くなっています。
また、スクーリング(対面指導)の回数や通学スタイルも学校ごとに異なり、現在の生活リズムに合わせて学び方を選ぶことができる点も大きな強みです。

今、通信制高校への転校が注目される理由

通信制高校の中には、大学進学に特化したコースや、苦手科目を個別に補強する学習システムを持つ学校もあります。「今の高校が合わない」「生活リズムを立て直したい」という生徒にとって、通信制高校はもう一度自分のペースで学びなおすための有効な選択肢となっています。

高校転校の具体的な手順

高校の転校は一つひとつのステップを丁寧に踏むことで、トラブルを避けて進めることができます。ここでは一般的な流れを整理します。

1. 現在の高校に相談する

まずは、今通っている高校の担任の先生や学年主任に、転校を検討していることを伝えます。転校先で必要となる書類は学校が発行するため、必ず在籍校との連携が必要です。これらの書類によって、これまでの修得単位の状況などを確認できます。

2. 転校先の受け入れ可否を確認する

転入希望先の高校に問い合わせ、受け入れ可能かどうか、募集枠、時期、単位認定の方針、試験の有無などを確認します。特に公立高校では教育委員会を窓口とする場合があり、私立高校では学校ごとに条件が異なります。

3. 書類の準備と提出

成績証明書、在学証明書、単位修得証明書などが必要になります。これらを元に転入先が単位認定を行い、転校後の学年や学習計画の見通しを立てます。

通信制高校の場合には、履修単位数やコースによって学費が異なります。また卒業に必要な単位数によって、卒業時期が確定できますので、書類を準備してから転入希望の学校に相談に行くとよいでしょう。

4. 試験・面接が行われる場合もある

転校生の受け入れに際し、筆記試験・面接・書類審査を行う学校が多く、特に公立高校は評価対象が細かく決められています。私立高校でも同様の選抜が行われることがあります。通信制高校の場合は、書類審査と面接のみが行われることがほとんどです。

転校を安全に進めるための重要なポイントは「単位の引継ぎ」

高校卒業の主な条件は、通算3年以上在籍し、74単位以上を修得し、30時間以上の特別活動に参加することです。これらの要件を満たした上で、校長が高校の全課程を修了したと認めます。これは、全日制でも通信制でも同じです。

在籍期間

通算3年以上の在籍が必要です。転入・編入の場合は、前の学校での在籍期間も加算できます。

習得単位数

合計74単位以上の修得が必要です。必修科目を含めた74単位以上を修得する必要があります。ただし、単位の取得方法は「単位制」と「学年制」で異なりますから、注意が必要です。

単位制

レポート課題、スクーリング(対面指導)、単位認定試験によって、各科目の単位を修得していくシステムです。ほとんどの通信制高校で単位制が導入されています。

学年制

各学年で決められた科目、単位を履修するシステムです。出席日数や定期試験、提出物の提出状況などで判断されます。単位習得ができない場合は次の学年に進級できず、留年となります。多くの全日制高校で学年制が導入されています。

特別活動

卒業までに30時間以上の特別活動への参加が必須です。特別活動とは、ホームルーム、体育祭や文化祭などの学校行事、部活動などが含まれます。

まとめ:転校は難しい。しかし方法を知れば道は開ける


高校の転校は制度上の制限が多く、特に公立の全日制高校は「やむを得ない事情」がなければ難しい側面があります。私立高校は柔軟性があるものの、学校によって方針は大きく異なります。
私立の通信制高校は単位制を活かして転入生を受け入れやすく、多様な事情に配慮した環境が整っている学校がたくさんあります。今の高校で悩みを抱えている場合、まずは情報を集め、自分に合った学び方を探すことが第一歩になります。選択肢を知ることで、より納得のいく高校生活につながるはずです。

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