通信制高校は、その名前の通りインターネットや郵送などを利用して勉強をするスタイルの高校です。しかし、すべて通信で済むというわけではなく、実際に通学して勉強をする「スクーリング」も行われています。
「え?通信制高校って全部自宅で済むんじゃないの!?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
今回は、通信制高校に行きたいけれど、スクーリングには抵抗があるという生徒さんに向けて解説していければと思います。

この記事でわかること

  • スクーリングの基本(場所・頻度・内容)がわかる
  • 「なんとなく嫌だ」を具体的に整理してみよう
  • スクーリングの不安は意外と解消が簡単?!

スクーリングとは?基本を知っておこう

スクーリングは必ずある(ゼロにはならない)

通信制高校は、自宅学習が中心とはいえ「スクーリング(面接指導)」は必ず必要です。これは、学校教育法に基づき、高等学校の教育課程の基準で定められているためです。文部科学省の「通信制高等学校における指導の手引き」でも、通信制高校では自宅学習だけで卒業することはできず、スクーリングの実施が必須であることが明記されています。

スクーリングの日数や通い方は学校ごとに大きく異なりますが、「スクーリングはゼロにはならない」という前提を押さえておくことが大切です。

どんな場所で行うのか

通信制高校のスクーリングは、学校の校舎、地域の学習センター、提携の宿泊施設や研修所などで行われます。通いやすい範囲に校舎がある学校もあれば、指定の施設へ移動して実施する学校もあります。

どのくらいの頻度があるのか

学校によって回数と形態はさまざまです。例としては、週に数回通う「通学型」、年数回の短期間でまとめて行う「集中型(1日〜数日)」、集中型で宿泊を伴う「合宿型」などがあります。頻度が少ない学校ほど、1回あたりの時間や日数が長めになり、その結果宿泊を伴うことが増えます。

スクーリングでは何をやるのか

スクーリングでは、レポートの補講、実技(体育・実験・家庭科など)、面接・試験、グループ活動、学校行事や校外学習などが行われます。普段の自宅学習で補いきれない実習や、先生方と直接会い、顔を合わせながら指導を受ける機会となっています。

スクーリングの日数が少ない学校は「宿泊型」が多い


スクーリングの頻度は学校によって様々ですが、その理由は「時間数でカウントするため」です。詳しく見ていきましょう。

短期間で単位をまとめる仕組み

年間のスクーリング日数を抑えている学校は、その分をまとめて一気に実施します。短期間で決められた時間数の授業を行うために、1泊2日や数泊の宿泊形式で、集中して授業や実技を行うことが一般的です。

・短期集中の利点・・・通学日数が少ない
・短期集中の負担・・・宿泊による生活リズムの急な変化や集中的な対人負担がある
これらのメリットとデメリットがあることを理解しておくと選びやすくなります。

宿泊でよくある不安(お風呂・部屋割り・ネット環境など)

宿泊型で生徒がよく気にする点には以下のようなものがあります。
「何人部屋になるのか」「男女別か混合か」「大浴場か個別か」「食事の配慮(アレルギー等)はあるか」「スマホは使えるか」「Wi-Fiや電源は使えるか」など
これらは学校によって扱いが違うことが多く、説明会やパンフレット、問い合わせで具体的に確認できます。

スクーリングに苦手意識がある理由

集団行動やグループワークが苦手

初めてあるような人・知らない人と協力して課題に取り組むのは気疲れすることも多いでしょう。また、最近では授業で討論を行うことも多く、学んだことを人前で発表することに苦手意識を持つ生徒は少なくありません。

休憩時間の過ごし方が心配

授業は先生が進めてくれるし、フォローもしてくれるから大丈夫だけれど、授業以外の時間、例えば休み時間や教室移動時間の過ごし方を心配する人は多くいます。あまりよく知らない人に話しかけられるのが嫌、昼食の時間が気まずい、居場所がないと感じるのは馬頭らいいことではありません。

生活リズムが崩れそう

スクーリングに参加する数日間は、普段より早起きしなければいけないかもしれません。普段の睡眠や食事のリズムを自分でコントロールできますが、集団行動となると自分が合わせることも必要になってきます。
また、休憩時間があるとはいえ、長時間のスケジュールで緊張し、疲れやすくなります。

宿泊への抵抗

「自宅以外の場所に泊まること自体が苦手」ということもあります。これには複数の理由が含まれます。たとえば「だれかと同室が不安」「家族と離れるのがつらい」「慣れない環境だと眠れない」「共有の風呂やトイレが嫌」「連絡手段が制限されるのが不安」などが挙げられます。

もやもやを言葉にしてみるワーク(やさしい手順)


「スクーリングが不安です」と言うとき、その不安はまだモヤモヤしています。苦手意識がある理由を、「どの場面で・どのくらい苦しいか」を細かく分けると、意外と簡単な解決方法が見つかるかもしれません。

ステップ1:まずは書き出してみる(5〜10分)

以下の短い問いに答えるように、箇条書きで書いてみてください。思い浮かんだことをそのまま書けばOKです。

  • 「スクーリングが嫌」と思ったとき、最初に頭に浮かぶことは何ですか?
  • 誰といると一番気を使いますか?(先生・知らない生徒・年上の生徒など)
  • 泊まることのどの部分が嫌ですか?(同室・お風呂・食事・睡眠など)
  • 休み時間や昼休みで不安になる瞬間はどんなときですか?(話し相手がいない、黙っていて変に思われないかなど)
  • 体調や睡眠の面で心配なことはありますか?(緊張すると食べられなくなる、トイレが近い、乗り物酔いしやすい、など)

ステップ2:もやもやを小さく分ける

たとえば「宿泊が嫌」をさらに分解します。

  • 宿泊が嫌 →(A)同室が嫌、(B)夜眠れないのが不安、(C)家族と離れるのがつらい
  • 「休憩時間が心配」→(A)会話が苦手、(B)居場所がない、(C)誰とどう過ごすか不安
分けることで「絶対に無理」か「工夫でなんとかなる」かの見当がつきます。

ステップ3:優先順位をつける

書き出した項目に対して「これは絶対に外せない/できれば避けたい/我慢できそう」の3段階で分けてみます。優先順位がつくと、学校に問い合わせるべきポイントが明確になります。

ステップ4:学校に確認するための質問リスト

情報を得るために、学校に聞くとよい具体的な質問をまとめました。説明会やメールで使ってください。

  • スクーリングは何日ありますか?(回数や日程の目安)
  • 宿泊スクーリングはありますか?必須か任意か?
  • 宿泊時の部屋割りは何人部屋ですか?個室対応はありますか?
  • 入浴やトイレは共用ですか?男女別の扱いはどうなりますか?
  • Wi-Fiや電源は使えますか?携帯電話の使用制限はありますか?
  • 食事やアレルギー対応はできますか?宗教・アレルギーの配慮は?
  • 休憩時間はみんなどうしていますか?(食事スペースや自習スペースなど)
  • 体調不良や緊急時の対応はどうなりますか?(保健室や常駐スタッフなど)
  • スクーリングの雰囲気(授業の進め方、グループワークの頻度)はどんな感じですか?

ステップ5:実際に確かめる方法

可能なら次の方法で実際の様子を見たり体験したりしましょう。

  • 説明会や見学に参加して施設を確認する
  • オープンスクールに参加する
  • 卒業生や在校生の体験談を聞く(HPで公開されていることも)
  • 保護者同伴の可否を相談をする

具体的なスクーリングの不安解消の事例を見てみよう


個別相談会に参加して、スクーリングに対する不安を事前に解消できた生徒さんたちの話を集めてみました。参考にしていただければと思います。

事例:うまく言葉が出てこないA君の場合

A君の場合、スクーリングを非常に不安に感じていました。緊張してうまく言葉が出てこないことが多い、と自覚しているからです。授業中の短い発言は大丈夫なのですが、長時間のグループ作業は苦手だと感じていました。
個別相談会に参加した際、スクーリングで実施されるグループワークについて説明してもらいました。「最初に先生から説明があり、その後のワークは時間を決めて話してもらうことが多いですよ」と聞きました。短く区切られていて、それほど長い発言は必要ないことがわかったので、スクーリングでのグループワークに対する不安が軽減したようでした。

事例:宿泊スクーリングに抵抗があるB君の場合

個別相談会で「スクーリングって宿泊なんですか?いやだな」と言っていたB君。 “宿泊のどの要素”が一番いやなのか?と先生に聞かれたときに、「だって、ずっとみんなと一緒なんでしょ?疲れてしまう‥」と集団行動での精神的な疲労が負担になっているようでした。すると先生から「宿泊は個室ですよ」と聞き、「え?ほかの通信制は4-5人に相部屋って聞いたのでそう思い込んでいました!個室なら平気です!」と笑顔で答えてくれました。

事例:大浴場が苦手なCさんの場合

宿泊スクーリングに難色を示していたCさん。色々話しているうちに「お風呂とか…」という言葉が出てきました。そこで「あ、お風呂はそれぞれの部屋についているので、シャワーとかでも済ませられますよ」とお話ししたところ、表情が明るくなりました。
お風呂について聞きにくいかもしれませんが、気になることを教えてくれたので、不安を解消できてよかったです。

まとめ:もやもやを細かくすれば、選ぶ道が見えてくる


スクーリングを不安に感じる気持ちは、を具体的に書き出すと、どの対応が効くか見えてきます。もしかしてすべて解消することはできないかもしれませんが、実は心配することもなかった、簡単な解決法があった、ということも少なくありません。
スクーリングの頻度やスタイルが、学校選びの決め手としている生徒さんも少なくありませんから、不安はそのままにせずぜひ質問してみてくださいね。


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四谷学院ブログ編集部

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