四谷学院高等学校に入学されたみなさん、ご入学誠におめでとうございます。保護者の皆様におかれましても、お子様のご入学について、心よりお喜びを申し上げます。
四谷学院高等学校の開校式ならびに第一回入学式に、お忙しい中ご臨席を賜りました、筑西市長須藤茂様をはじめ、ご参列の皆様に、厚く御礼を申し上げます。本日はどうもありがとうございました。
この入学式に参加されている、四谷学院高等学校生のみなさんは、本校の一期生です。人生には運、めぐりあわせというものがあります。みなさんがこれから生きていく長い人生のなかで、かならず、この「運」というものの存在を感じることが何度かあるはずです。まだ十代、二十代という若い時期では「運」というものがどういうものか、なかなか実感することは難しいかと思いますが、みなさんのお父さん、お母さんであれば「運」「めぐりあわせ」があるんだ、ということを実感されていると思う。四谷学院高等学校とみなさんがいまここで出会ったこと、なかんずく、二度と訪れることのない一期生としてめぐり合ったことは、あなたたちにとって、そして私たちにとって、かけがえないのない「めぐりあわせ」であると、私は確信しています。あらためて、入学おめでとう。

みなさんのうちの多くは15、16、17という年齢ですよね。みなさんが生まれた約15年前は2010年前後です。2011年、みなさんが1歳とか2歳とか、そのくらいのころに、日本は大きな転換点を迎えました。なんだかわかりますか?
そう、東日本大震災です。当時すでにおとなであった私たちは、この東日本大震災を昨日のことのように鮮明に覚えています。21世紀にはいってから、この震災、そして福島原発事故ほど、日本社会の在り方が根底から問われた事件はなかったといってよいでしょう。
震災後すぐから、あやふやな情報を元にしたデマや扇動が起こりました。14年たった今でも、科学的にみれば明らかな誤情報が流れています。放射性セシウムによる土壌汚染が今なお続いている、水素の放射性同位体である三重水素、トリチウムを含んだ水が排水されると生物濃縮がおこって危険だ、といった言説は現役で出回っていますね。
放射性物質には半減期というものがあって、この半減期が過ぎると量が半分になる。半減期の二倍の時間がすぎると、半分の半分で1/4になる。三重水素は水素の同位体、アイソトープである。アイソトープの化学的、ケミカルなふるまいは違いがないので、生物濃縮のような化学プロセスで濃度が高くなるような事態は、まず、考えられない。
このような知識は、みなさんが高校の化学基礎、物理基礎の授業で身につけることです。放射性物質の量が時間とともにどのように変わっていくのかを計算する方法は、数学Ⅱの指数関数・対数関数のところで学ぶ。
今世間で一番話題になっていること、なんでしょうね。ひとつはアメリカのトランプ大統領じゃないかな。相互関税の発動したかとおもえば90日間猶予したり。トランプが輸入品に関税をかけるのはなぜかというと、アメリカ国内の産業を守りたいからですよね。保護貿易政策。保護貿易の手段にはどういう手段があるか、関税障壁と非関税障壁。これは、高校の政治経済。
学校の勉強が、みなさんの人生にとってどういう意味があるのか。勉強なんて社会にでたら意味がないよ、なんて思っているかもしれないね。みなさんがこれから四谷学院高校で学ぶ内容は、「現代社会においてよりよく生きるために、必要、欠くべからざること」、なんです。決して、大学入試のためだけに勉強するのではない。生きる力を手に入れるために勉強するんだ、ということです。いいですね。
みなさんがこれから四谷学院高等学校で過ごす1年間、2年間、3年間は、みなさんの将来にとってとても重要な意味をもちます。ぜひ、いろんなことを体験してもらいたい。勉強もそう、体験プログラムもそう、読書の55段階もそう。まずはやってみる、という前を向いた姿勢で、一つ一つのカリキュラムに取り組んでもらえたら、私はとても嬉しく思います。
最後になりますが、保護者のみなさまにおかれましては、四谷学院高校にお子様の高校生生活を託していただけましたことにつきまして、深く感謝いたします。私たちの基本理念は、「誰でも才能をもっている」です。生徒のみなさんは、それぞれその内側に、いろいろな才能を秘めています。その才能を表に引き出していくための教育に、四谷学院高等学校は全力で取り組んでまいります。そして、新たなる才能の開花のためには、ご家庭のバックアップが不可欠です。何卒、お子様の成長、さまざまなチャレンジをあたたかく見守り、はげましていただけますよう、よろしくお願いいたします。
これをもって入学式の式辞とさせていただきます。
令和7年 4月 12日
四谷学院高等学校 校長 栗山潔