2026年4月から、いよいよ始動する四谷学院高校野球部の監督が発表!日本ハムファイターズの教育ディレクターとしてプロ野球でも活躍した本村幸雄氏が監督に就任します。

通信制の高校での野球部、そして原田メソッドという教育手法、さらに学業との文武両道と、各方面から注目を集めている四谷学院高校野球部。本村監督率いるチームが何を目指すのか?「新しい野球部像」について監督の想いを伺いました。

本村監督・経歴

千葉県市立習志野高校野球部出身。2年生時に甲子園に出場。大学は日本体育大学に進学し、2年間選手として活動した後、3年次からは指導者コースへ。約400人いる部員の中でコーチングチーフとして選手指導を担当。大学卒業後に神奈川県光明学園相模原高校に就職、17年間野球部の指導に携わる中で原田隆史先生の塾生となり、高校野球指導でも原田メソッドを取り入れる。株式会社北海道日本ハムファイターズから「若手選手に対し人間教育指導(原田メソッド)を」という熱いオファーを受け、2011年から選手教育ディレクターとして15年間勤務。今日に至る。

 

四谷学院高等学校で描く「新しい野球部像」とは?

———四谷学院高校の野球部監督就任は、どのような経緯だったのでしょうか。
もともと、私は習志野高校の恩師のように、監督として生徒を率いて甲子園で優勝することが憧れであり目標だったので、高校野球にまた関わりたいという思いがありました。そんな中で、原田隆史先生が理事をされている四谷学院高等学校が野球部を創立するお話を伺い、植野理事長とお会いしました。理事長の教育に対する熱意と、「だれでも才能を持っている」という教育理念に深く感銘を受け「この人の組織で働きたい」と感じました。
また、理事長が0から四谷学院をスタートさせここまで大きな組織にしたという点も、0から野球部をスタートさせるという今の状況と重なる部分があり、「四谷学院高校野球部を伝統あるチームにしたい」という使命感を抱き、お引き受けすることを決めました。

———四谷学院高校で、どのような野球部を作りたいとお考えですか。

第一の目標は「文武両道」です。学校の方針でもありますが、日々の学業ありきの部活動であることを、選手たちにしっかりと伝えていきたいと思っています。
第二の目標は「人間力向上」です。ファイターズでも人間教育を担当してきた経験を活かし、人としての基礎や知識、生活習慣、そしてトップアスリートを目指すための姿勢など、人間的な部分の成長をしっかりサポートしたいと考えています。
具体的には、最後まで諦めない心、社会に対する責任感、高校生らしさを持った野球をすること、そういった教育をしっかり行っていきたいです。
野球部全体としての目標は3年後の日本一です。もちろん甲子園出場も中間目標として掲げています。そこに向けて段階的に計画を立てていきます。

———通信制高校ならではの強みは、どこにあるとお考えですか。
全日制と違い、時間を有効に使えることが最大の強みです。無駄な時間がなく、計画的に指導プログラムを組めるため、イレギュラーなく着実に選手を育成できます。また、全国から生徒を集められることも大きなアドバンテージになると思います。

———原田メソッドと野球部の親和性について教えてください。
原田メソッドは「心技体」に「生活」を加えた「心技体生活」が基本です。野球の練習だけでなく、学業を中心に据え、そこに野球と人間教育を組み込んでいく――このバランスが非常に取りやすい教育内容になります。
特に当校野球部は1学年15名全員が寮生活ですから、生活面での指導も徹底できます。さらに優秀なトレーナーも常駐し、フィジカル面のプログラムも3年間を見据えて組めます。これは大きなメリットだと考えています。

競争相手は自分自身。個性を伸ばしてまとまるチームを目指す

———入部する生徒に、どのようなことを求めますか。
四谷学院の理念にある「だれでも才能を持っている」を私も信じています。だから「やればできる」と自分を信じて、目標に向かって最後まで諦めない姿勢で取り組んでほしいです。そして、自分の個性を大切にしてほしいです。
野球部は、チームとして同じ方向を目指しますが、個々の個性は崩さず、むしろ伸ばしていきたいと思います。競争相手は他人ではなく、自分自身です。自分をしっかり見つめ、どのような人間になりたいか、どのような目標に向かいたいかを明確にする。その個々の思いが集結しチームとなって、大きな目標に向かっていく――そういうチーム作りを目指しています。

———個性の尊重と集団生活の両立は、難しくありませんか。
大切なのは「自立」です。プロ野球選手でも、自立できる選手とそうではない選手では成果が全く違います。セルフマネジメント能力が高い選手ほど活躍します。
大谷翔平選手は、まさにその典型例です。私がファイターズに入った3年目に彼は入団しましたが、入団1年目よりセルフマネジメント能力が格段に高かった選手です。やると決めたことは必ずやる。「やりきる力」が非常に高い選手でした。先輩との付き合いも当然ありますが、野球中心の生活を貫く。そういう姿勢が1年目からありました。
こうした成功例を選手たちに伝えながら、自分で目標を立て、それに向かって進む力を育てていきたいと思っています。高校野球とプロ野球選手での指導経験を存分に活用して指導していきます。

プロ野球選手に求めるものも高校球児に求めるものも実は同じ

———プロ野球選手と高校球児に求めるものはやはり違うのでしょうか。
実は私も、高校の指導者からプロ野球の世界に入った時、「プロ選手に高校生と同じことをやらせて良いのか」と不安でした。でも、立場は違っても、やることは基本的に同じであることに気づきました。
目標の大きさは違います。プロ野球選手は職業、高校球児は学生ですから。しかし、目標設定の方法や取り組むシステムは全く同じものを使用することが出来ました。原田メソッドの汎用性の高さを実感しました。
すべての根幹は「生活」です。これはプロ選手も高校生も変わりません。

———四谷学院高校野球部の展望をお聞かせください。
冒頭でも申し上げましたが、「文武両道」が第一目標です。自分が行きたい大学にしっかり進学できる準備をすること。そして野球では甲子園出場、さらには日本一を目指す。この2つを大前提に教育を進めていきます。
夢は高く持つことが大切です。夢に向かって着実に歩んでいける環境が、四谷学院高等学校には整っています。

———寮生活への不安を抱える生徒へのフォローはあるのでしょうか。
私とトレーナー、そして部長の3人体制でしっかりサポートします。私自身も同じ場所で生活しますから、家族のようなチームになれればと思っています。また、月に2回は必ず面談を行いますし、日誌も活用して生徒の状況を把握します。
面談では、フィジカル面と野球の技術面、両方を数値化して管理します。野球も今は数値化できる時代です。感覚ではなく、データに基づいて成長を確認していきます。
例えばフィジカル面では除脂肪体重や筋量を測定し、1年生から3年間のデータを蓄積します。ピッチャーなら球速、バッターならスイングスピードなど、すべて測定可能です。フィジカルと技術を照らし合わせながら、個々の成長を可視化していくのが現代の教育手法です。プロ野球ではすでに当たり前のことですから、高校生にも取り入れていきます。

———トレーナーが常駐するのは珍しい印象です。
ええ、高校野球では珍しいと思います。しかも、トレーナーは、阪神の村上選手や青柳選手など、十数名のプロ野球選手のパーソナルトレーナーを務めている非常に優秀な方です。
さらに、私がプロ野球を経験させていただいた縁で、引退した選手たちにもサポートしていただける約束をしています。各ポジションごとに、プロ野球選手のアドバイスも受けられる環境を整えていきたいと考えています。

全員に役割を持たせられるように少数精鋭スタート

———第一期生は定員15名の募集となっていますね。
はい。野球部に入部する一人ひとりに役割を持たせたいと考えていますので、最初は少人数での募集とさせていただきました。最終的に3年時には全員ベンチ入りができて、途中で挫折してしまったり辞めてしまったりする生徒が出ないようにという、こだわりの15名定員です。
また、「文武両道」を掲げる部活ですから、保護者の方から「東大を目指させてください」というご要望をいただくこともあります。そこは四谷学院のシステムのお力をお借りしたいと思っています。

———学業面はお任せいただければと思います。最後に、四谷学院野球部に興味を持っている生徒へメッセージをお願いします。
勉強も野球も、全力でやれる本当に素晴らしい環境が整っています。ぜひ大きな夢を持って、四谷学院の門を叩いてください。私たちも全力で指導し、サポートします。一緒に日本一を目指しましょう。